公共施設マネジメント

公共施設 ― 道路・公園・下水道・学校・図書館など、公共事業によって供給される施設。公共財としての性格をもつ(大辞林より)。

平成24年。法人設立から10年が経ち、ようやく仕事も軌道に乗り始めたころです。けれど、財政面は非常に脆弱でした。これまで様々な大型イベントを実施していましたが、それも季節もの。期間が集中していることもあり、12月から3月がとても財政が苦しくなるのです。

そんなとき、久しぶりに会った方に近況を聞かれ、忙しいけど、仕事にムラがある話をしました。「また連絡するよ!」の言葉通り、彼が連絡してくれたのは「公共施設マネジメント」を一緒にやらないかということでした。またまだ一から勉強です。

小泉政権時代、「新しい公共」の名のもとに、民間ができる業務は行政から民間へ委託しようという動きができました。指定管理制度やPPP、PFIといった手法を用いた公共施設の運営が用いられるようになったのです。

姫路市でも様々な公共施設が民間移管されることになりました。書写山ロープウェイ、みなとドーム、「香寺荘」などの宿泊施設とともに、姫路市に15か所ある市民センターが指定管理に出されたのです。網干・飾磨・広畑の3市民センターを一括で指定管理を募集するということで、JVを組むことになりました。そのうちの1つに我が法人が入り、広畑と飾磨の2館を運営してほしいということでした。我が社にとっては千載一遇のチャンスです。持てる人脈と能力をフルに生かして企画書に取り組み、NPO法人としては初めて指定管理者として受託をしました。

運営に当たって、人材面での課題が起こります。行政や利用者、窓口業務をするスタッフの研修などやるべきことは山積です。当時、私の右腕で活躍していた女性が、退職をし、統括マネージャーとしてJVの親会社へ行きますと言ってくれました。我が社の苦しい台所事情を知っていて、自分が抜けることで少しでも財政が豊かになると思ってくれたのだと思います。彼女を送り出すのは、私にとっては苦渋の選択でした。これまで5年間、彼女とは、辛いときも楽しいときも一緒に歩んできた同志です。けれどJVの親会社は日本でも有数の大会社。超弱小のNPO法人にいるより、先は安泰です。

それから3年間の受託期間で、市民センターを運営が始まりました。運営に当たっての課題はいっぱいありましたが、一つ一つを彼女とともに丁寧に対応しました。指定管理そのものの利益は薄いのですが、それでも毎月決まった額をいただけるという精神的安定感で、自分たちがNPOとして本来やるべき事業に推進することができました。また、始まったばかりの指定管理制度の根本を学びたいと、私は大学院に進んで学びを得ましたし、彼女も大型の指定管理施設受注をするなどチャレンジを続けています。

指定管理を始めて9年目を迎えました。NPO法人が受託する意味は、「公共施設をいかに生き生きしたものにするか」があると思います。法令順守、平等利用の原則のもとで、利用者の方に「使いやすい」と思われるような施設にするため、スタッフも研究をしています。

7月16日に、岡山でお話しをさせていただく機会を得ました。「市民が創る公共施設」と題してお話しをします。

電博堂日記

兵庫県姫路市で「まちづくり」を中心に活動するNPO法人姫路コンベンションサポートです。 私たちのミッションは「まちを元気にしたい人を全力でサポートする」日々の活動をお知らせします。

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